【練習方法】力のつり合いの話
三か月周期で体調を崩してしまうカジタです。僕の場合、一日ドカッと熱が出てすぐに治るので、「そろそろ衣替えかな」くらいのスタンスで体調不良と向き合っています
さて。
一週間ぶりの更新となりましたが、今日は「力のつり合いを意識することで滑りやすくなるよ」という話をしていきたいと思います。
スケートを教えていてよくある質問のひとつにこういうものがあります。
「ストロークの時に体が前傾してしまいます!」
「モホークの後に体が回っちゃうんです。」
「キャメルの姿勢維持が上手くいきません」
僕としては、これらの悩みの根幹には力のつり合いに対する意識が関係していると思います。
当たり前の話ですが、僕らは現実世界で体を動かしているので、それらの動きは物理法則に従っています。普段は力のベクトルを考えることなく無意識下で身体を操作しますが、氷上という身体の自由が限られた空間においては、力のベクトルを正しく認識する必要があると思います。なので個人的には、回転や姿勢の制御を考える際に力のつり合いを考える癖をつけると良いのかなぁと思います。
ちょっと話が抽象的になってしまったので、上記の例で自分がどう「力のつり合い」について考えているのかについて話します。
ストロークの姿勢維持
まずはストローク。詳しく言うと、膝を曲げて足をハの字(Tの字)にして氷を押す動作について話します。
ストロークの際は、フリーレッグを後ろに伸ばす力とスケーティングレッグの膝を前に出す力でつり合いを取ることを意識しています。
僕としては、特にスケーティングレッグの膝を前に出す力を意識してほしいと思っています。それは、多くの人がフリーレッグを綺麗に伸ばすことに意識が行き過ぎてしまい、後ろ向きの力に対抗しようと体を前傾させてしまうからです。
なので、本当によく言われることだと思いますが、蹴り出す時は膝をしっかり曲げて下さい。膝を曲げるという行為には、蹴る力を強くすることと同様に、力のつり合いを取りやすくするという意味があります。
安定したモホーク
これは持論なのですが、ジャンプを安定させるには、安定したモホークが必要だと思います。そして、モホークが安定しているかどうかの基準は、「モホーク後にバックインのエッジで長時間耐えられるかどうか」だと思っています。(昔、僕の尊敬する某百獣の王の先輩が、モホークでリンクの短辺を耐えきったのを見て感動しました。)
ちょっと話が逸れましたが、この安定したモホークのために、考えなきゃいけない力のつり合いは、元々残っている遠心力とそれと逆向きに肩甲骨を引く力のつり合いです。
以下RFI(右足フォアのインエッジ)からLBI(左足バックのインエッジ)のモホークで解説します。
モホークはターンの一種であり、モホークを行う前に左の肩を開いて反時計回りに体のねじりを作ります。そこからターンを行うので、モホーク後は反時計回りに遠心力が掛かってしまい、そのまま力をいれないとLBIがどんどん深くなり、まっすぐ滑り続けることが出来ません。
そこで、右の肩甲骨を後ろに引くことで、時計回りの力を生みだしてあげ、力のつり合いを取る必然があります。ただ、この時に注意しなければならないのは、時計回りに強く引きすぎてしまい、本来のLBIの軌道から外れることのないようにすることです。あくまで力のつり合いなので、行き過ぎないように注意しながら練習すると良いと思います。
キャメルスピンの姿勢維持
キャメルスピンは選手によって形が異なると思うので、あくまで自分の経験談からの話をします。
キャメルスピンの姿勢でよくあるのが、左肩が下に落ち、右肩が天井を向き、体全体が横に開いている状態です。これは、いわゆる美しい形の一つだと思いますが、初心者がやるには向いていないと思います。(プロの選手のように体幹がしっかりしていて、氷の感覚が身に染みている人なら、体を開いている形によって回転速度を高く保つことが出来ると思います。)
僕が思うキャメルスピンでの安定した姿勢維持には、両肩を氷と並行させ、右足を左に引っ張る力と左腕を右に引っ張る力でつり合いを取ることが必要です。(右足を上げている関係で若干右肩を上げますが、イメージとして両肩は平行な感じです。)
ここで大事なことは左腕を右に引っ張るタイミング(左腕を反時計回りに回すタイミング)で、キャメル姿勢を早く作ろうとして右足を伸ばす前に左腕を動かすと軸がブレます。
先ほども言いましたが力のつり合いによって安定した姿勢になるので、時間軸的にどのタイミングで力を掛けるのかを考えながら練習してみてください。
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この記事、本当は5月29日に途中書きになっていて、冒頭のあいさつを変えるハメになりました。書き出したら途中でも記事を公開する方式にしようかなぁと思います。
それでは、また明日。